Romancing SaGa THE STAGE~ロアーヌが燃える日~の感想

SFCロマサガ3が原作の舞台を見てきました、ネタバレ多少ありで感想を書きたいと思います。

スーパーファミコンソフト「ロマンシング サガ3」といえば不朽の名作である。私も何回プレイしたか覚えていないほどである。一番最初に選んだ主人公はハリード、その次にカタリナ、ユリアンと選んでいた。フリーシナリオながらも要所のストーリーは繋がってラスボス手前では全員同じ場所に集まる。仲間になるキャラクターも多彩で、普通にプレイしているだけは加入条件を満たすのが難しすぎるキャラなども居る。そんな語れば長くなるロマサガ3だが、なんと舞台化されたというのだ。

「ロマンシング サガ ザ ステージ ~ロアーヌが燃える日~」(以下サガステ)ロマサガ3の舞台といわれて思いつくのは何だろうか。豪雨の夜にモニカが来て酒場のマスターが「あんたがあのトルネードかい」と語り、ボス戦手前で仲間の装備を全部剥ぎ取りつつ各主人公ルートに入るイメージだ。そもそもメイン主人公は8人いるので誰をメインにするのかで大きく筋書が変わっていく、これをどう上手くまとめるかも見どころである。

30-DELUX(サーティーデラックス)

このサガステを演じるのは30-DELUXという激空間ユニットである。激空間ユニットである。もうこれだけでカッコイイ。そもそもサガステを通じて30-DELUXを初めて知ったので適当な事を書くと怒られそうな気もするので一言で表すと「殺陣シーンがすげぇ!」

大阪公園はサンケイホールブリーゼ


正直な所、劇場に入るまでは舐めてましたよ。ロマサガ3の発売って22年前だし、そこからさらに舞台に興味を持つ人って相当少ないんじゃない?って思ってました。ところがどっこい開演20分前でほとんど席埋まってました。私の席の周りだけで見渡してみても観客の8割は女性で、原作ロマサガ3ファンよりも30-DELUXファンが多い(後の開場アンケートのロマサガ3をプレイした事ある人で判明)

そもそも原作知らなくても楽しめるのだろうか、そんないらぬ心配をしていると舞台に詩人とゆきだるまが登場した。

上演は2時間30分


詩人とゆきだるまのコミカルな掛け合いで劇場での注意事項と共にロマサガ3のストーリー背景を説明してくれる。死食や宿命の子、四魔貴族(よんまきぞく)についてである。あのソフトを起動して最初に入るシーンの再現である。

一気に引き込まれたオープニングアクト

第1幕、最初のシーンからオープニングが始まる。これが凄い、原作をプレイした事があるならばタイトルで放置した時に流れるダイジェストシーンみたいな映像を舞台でやってくれるのだ。薄っすらと原作で使われているプロローグテキストも映し出されており、キャスト入り乱れてのアクションが目の前で始まるのだ。コミカルなシーンから一気に切り替わりこの舞台の本気度が伝わってきた。最後にドーンと「Romancing SaGa THE STAGE~ロアーヌが燃える日~」と映し出され思わず拍手してしまうほどである。

原作ファンならニヤリとできるシーンが多数


グッズで台本を買ったので読み返しながら書いているのだが、演劇のすごい所は台本を読んだだけではあの臨場感やキャラクターまでは書いていない所である。おそらく公演する劇場によって言葉遣いを変えている点や、磨かれてきたアドリブなどは台本からは読み取れない。セリフと大筋が書いているだけである。

さて、ストーリーは原作に沿ってというわけではなかった。ハリードが主人公で話が進むのだが、原作ではあまり触れられていないシャールやルートヴィッヒといったキャラの過去を掘り下げてのスタートである。ハリードが主人公といいつつもシャールが準主人公ともいえる活躍っぷりで新しいロマサガ3を見たような感じである。登場キャラを見て夢魔からミューズを救出するシーンがあると思っていたのだが、それよりもさらに進んだ話が展開される。

2時間30分では短すぎると思っていたが、ミカエルが指揮を執り仲間キャラクターを3パーティに分けるというシナリオで上手に要所のイベントシーンを繋いでいった。特に暗転なく切り替わるシーンや、ステージの手前と奥を利用してのシーンチェンジ。時には2つのシーンを同時に再現するなど演出的な面でもただただ凄いと感じる。特に普段演劇に親しんでない私にとってはこういった表現方法は驚きの連続である。

物語は最終的な原作クリアまでは行かないのだが、そのおかげかロマサガ3をプレイしたくなった30-DELUXのファンも多くいたそうだ。役者さんも稽古の合間にプレイしていたらしく、中にはコアなファンも居た(ゆきだるまの中の人)。ちょうどロマサガ3のリマスター版が発売されるという事もあり、ロマサガ3が広くプレイされるという展開を期待している。

サガステ個人的に気に入ったシーン

・新しく発売されるコラボラム酒をさりげなく宣伝するシーン
・少年が「僕に構わないでッ!」とかなり発声の良い所
・しっかりと技を閃いてくれるシーン(電球がマジで出る)
・カタリナがマスカレイドを奪われるシーン(マクシムス本人が化けている設定)
・ブラックのブレードロールのシーン(殺陣がかっこいい)
・エレンが斧だけじゃなく体術を使うシーン(やっぱ体術だよね)
・シャールが銀の手だけじゃなく七星剣まで装備してスタースクリームを出すシーン
・合成術クリムゾンフレア(ギャラクシィじゃない所がツボ)
・パンフレットの表面加工がなんかジュースこぼして乾かしましたみたいな手触りのシーン

生アクションの緊張感

ロマサガ3について語りたいことは多々あるのだが、そこはちょっと置いておいて30-DELUXのステージ感想も書いておこう。

ここまでアクションを前面に押し出した舞台は東映太秦映画村のニンジャが飛び跳ねるシーンぐらいしか見た事なかった。注目すべきは衣装や小道具の再現力の高さだろう、特に武器となる剣や斧、槍に小剣と様々な長物が登場する。どれも下手に作ればアクションシーン中に折れたり部品が取れたりする、そうなるとせっかくのシーンが台無しだ。特にトーマスの持っていた槍などは本当にしっかりと作っていないと振り回す事もできないだろう。そんな多数の武器が入り乱れての殺陣シーン、絶妙な立ち位置で行われるアクション。もちろん武器だけでなく衣装も手が込んでおりアクションをしてもパーツが取れたりすることは無い、技術力の高さである。

ぶつかり合う剣戟の音、ダメージ音などのタイミングもぴったりで、もちろんロマサガ3なので技のエフェクトも再現されている。そのどれもがズレてしまうとシーンが台無しになる緊張感、おそらくだがここで観客に緊張感を与えてしまうのは演劇としては褒められた事では無いのかもしれない。しかし、その不安、失敗が起きるかもしれないと感じたのは前半だけであった。各役者の圧倒的な安心感というか、セリフが飛んだりするかもなんてのは全く感じなかったのだ。

最後に

思うんだけど前説と後のイベントも含めて、詩人が一番セリフも仕事量も多い気がした。詩人役の田中 精(たなかすぐる)さん凄いね。

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です